10年かけてオリジナルを追求し、たった4日で融資をとりつけた施術家

「癒し処 こうみや」院長 熊谷康孝さんのST0RY

元住吉の駅からほど近い整体・リラクゼーションサロン「癒し処 こうみや」で院長を務める熊谷康孝さん。学生時代はバスケットボール部と聞いて納得する細身の長身に、知的で穏やかな語り口が印象的な施術家です。そんな熊谷さんは、生まれ育った“土”にどのような“種”を見つけ、いかにして“芽”を開いたのか。10年かけて自分の手に合う施術を追求した職人気質と、たった4日で創業の融資をとりつけた実業家の顔が同居する稀有なST0RYをお話しいただきました。
インタビュー・文=神 誠(ST0RY編集部)

学生時代の大ケガから施術家の道へ


――小さいころに好きだったことは何ですか?


親戚の喫茶店でコーヒーの店頭販売をしたり、夏祭りの出店でスーパーボールすくいをしながらお客集めの手伝いをしたりして、幼心に「ああ、こういう楽しみがあるのか」と感じていました。もともと父が職人で板前をやっていて、その背中を見て育ちましたので、人と接して商売することには早くから興味があったかもしれないですね。

――小さいころに影響を受けた人は誰ですか?


最も影響を受けた人となると中学生時代、バスケットボール部の練習中に激痛で立ち上がれないほどの重傷を負ったときに、運ばれた先の病院でリハビリを担当してくださった先生ですね。

学生時代のスポーツは卒業までの期間が決まっているので、ケガをしたときにどれだけ早く復帰できるかがすごく大事です。実際、先生の施術で短期間のうちに運動できるまで回復しましたし、初めて「こういう職業があるのか」と知って施術家を志すきっかけにもなりました。

その後、卒業してから高校・専門学校と勉強をつづけ、同じ業界に入って先生と再会することになるとは思ってもいませんでしたが、運命といえる勉強会でお会いしたときには「ここまで来たか!」と喜んでいただけましたね。

――小さいころの一番の成功体験を教えて下さい。


小さいころはとにかくゲームが好きで、徹底的にレベルを上げたりアイテムをゲットし尽くすことに没頭していました。クリアするまでのタイムを競うゲームであればその一点に集中して、ランキングをすべて自分の名前で埋めてみたり(笑)。

凝り性というのか達成欲というのか、やると決めたらとことんやるという感じで、自分の決めた目標をクリアするたびに小さな成功体験を積み重ねていたような気がします。それが後に、倍率の高い専門学校や国家試験の合格につながったのかもしれません(笑)。

――いまのお仕事を始めようと思ったきっかけはどんなことですか?


高校3年のとき、進路に悩んだ末に見つけた「アスレティックトレーナー」との出合いが原点ですね。リハビリテーションとスポーツトレーニングの両方をカバーする理想的な資格で、それをバスケットボールの強豪校でもあった専門学校で、現役をつづけながら学べたのは幸運でした。

卒業してからも20代の10年をかけて自分の手に合う施術とは何かを追求し、トレーナー・リラクゼーションマッサージ・整骨・整形・鍼灸・整体――各分野を体験しながら優れた点を取り入れることで、30歳にしてようやくオリジナルの店舗を作り上げることができたと思っています。

――いまのお仕事を通じてどんな世界を実現したいと思っていますか?


近年ITの普及により利便性は高まる一方ですが、パソコンやスマホでいつでも仕事ができてしまうことで生活のリズムが崩れ、便利さと引き換えにカラダへの負担が大きくなっている印象を受けます。

日常的にたくさんの情報が入ってくるせいで頭が休めていませんし、運動不足で心身もリフレッシュできていない……そうなると疲れが取れずに休みの日を寝て過ごしがちになって、出かけたとしてもプライベートを満喫できない……そんな負の連鎖を懸念しています。

そこで当店では「健康を通して幸せを実感する場所」をコンセプトに、お客様の健康をサポートすることで有限な時間の質を高め、充実した毎日を過ごせる幸せを感じていただくことを目指しています。

動いた先でぶつかるのが本当の問題

――いまのお仕事で最初に手ごたえを感じたのはどんなときですか?


オープンから1ヶ月ほどのキャンペーン期間が終了後、通常の価格に戻してからが勝負というところで、初めて一日の予約が埋まったときでしょうか。確か2~3ヶ月めのことでしたが、自分一人で現場に立ち、その日お迎えしたお客様がみなさん笑顔で帰られたのを見送って、心から安堵しましたね。

実は近隣のお店と比べると少し高めの設定だったのですが、その分、自分のカラダに関心の高いお客様がついてくださり、価格に見合う良質なサービスを提供すればリピートいただけるということもわかって、自分の方向性が間違ってないんだと信じられた瞬間でした。

とくに他店との差別化を意識して内装にはお金をかけていて、それが治療院に技術だけでなくリラックスできる空間を求める時代のニーズにかなっていたのではないかと思います。

――いまのお仕事を成功に導いた要因はなんだと思いますか?


一番の要因は「行動力」だと思います。私の場合、起業の相談を始めて1~2ヶ月のころ、たまたま地元を歩いていて見つけた好物件をその日のうちに電話して仮押さえし、すぐさま開業届と前職の退職届、創業融資を取りつけるための事業計画書に着手した記憶があります。融資の手続きを担当してくださったV-Spiritsの中野さんからも「計画書の作成から銀行借り入れまで4日というのは過去最短です!」と伺いました(笑)。

それができたのも、いつか自分が起業することをイメージしていたからだと思うので、資金面を含め時間をかけて少しずつ準備することも大切ですね。そのうえで行動を起こせば、動いた先で必ず想定とは違う現実的な問題にぶつかり、解決することで先に進める。ですから気になる人がいれば会いに行く、わからないことがあれば誰かに聞いてみる。そうすることで自分一人では気づけないことが山ほど見つかりますし、別の角度からいただける意見は本当に貴重だと感じられます。

――いまのお仕事をこれからどのように発展させたいですか?


お店を構えて6年が経ちましたが、他店でもサービスの追求が進んでいると感じます。私のいる整体・リラクゼーションの業界はどこの街に行ってもたくさんの店舗がしのぎを削っており、「お客様から本当に必要とされていることが何なのか?」を突き詰めることがこれからの差別化につながると思っています。

その点「癒し処 こうみや」では、自分と向き合う時間すら持てないお客様の疲れの本質に寄り添い、カラダの健康とココロのリラックスの両面から、もう一歩踏み込んだサポートを形にしたいと考えています。また店舗展開を見据えながらも自分一人の視野に留まることなく、オープンな治療院同士が横につながることで実現できる地域貢献にも取り組んでいきたいですね。

何よりお客様の声を大事に「どんなことが求められているか?」を考え、「自分自身は何がしたいのか?」と擦り合わせながら、常に必要とされるサービスを提供していきたいと思っています。

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