航空業界の元人事担当者が描く、“脱・憧れ”のマッチングサイト

株式会社Flact 代表取締役 三井紀人さんのST0RY

大企業の人事担当者として対峙した人手不足の問題を解消するため、航空業界特化型の求人サイト「マイターミナル」を立ち上げた株式会社Flactの三井紀人さん。大きな目標を掲げたがゆえに「成功には程遠く難しいことだらけ」とさわやかに笑う三井さんが、生まれ育った“土”にどのような“種”を見つけ、いかにして“芽”を開いたのか。「誰もやっていないなら自分が」という使命感に駆られた挑戦のST0RYをお話しいただきました。
インタビュー・文=神 誠(ST0RY編集部)

業界に必要な就職と採用の交通整理


――小さいころに好きだったこと(もしくは嫌いだったこと)は何ですか?


小さいころは電車や車など乗り物が好きで、小学校高学年のときにサッカーが加わりました。毎日泥だらけになるまで友だちと外で遊び、家に帰ったらお風呂に入ってご飯を食べて寝るという「ザ・男の子」の生活でしたね(笑)。いま思い返せば全力で“子ども”という仕事をこなしていたような気がします。

――小さいころに影響を受けた人は誰ですか?


厳しくも愛情たっぷりに育ててくれた両親ですね。同じようにかわいがってくださった前職の上司にも感謝しています。いい大人になってからの話ではありますが、入社1年目の終わりにその方のはからいで人事部に異動させていただきました。2000人規模の会社で1年目の新人がそのような環境で働かせてもらうのはとても貴重で、自分にとって大きな成長の機会になったと思っています。

――小さいころの一番の成功体験を教えて下さい。


これも空港で働いていた前職の話になりますが、成功と言えるのは会社史上で一番の人数を採用できたことと、一方でわずかながら離職率を下げられたことです。その要因はおそらく、私が就職希望者との対応の時間をとても大切に持ち、「航空業界は憧れだけでは続かない」「現実には辛いこともあって辞めていく人もたくさんいる」ということをしっかりお伝えし、ご理解ご納得いただいたうえで入社してもらうことを、自分のルールとして意識していたからだと思います。

その一方で失敗もあって、退職というネガティブな出来事を避けられない環境で、それこそたくさんの仲間を失いました。自分が採用した子が短期間で辞めてしまうという現実はとても辛かったですし、私がもっとしっかり説明できていたら、彼らは他の選択肢を選んでいまごろ幸せに働いていたのかな…と思い悩むこともたくさんありました。むしろそういう失敗の方をたくさん重ねてきたように思います。

――いまのお仕事を始めようと思ったきっかけはどんなことですか?


先ほどお話しした通り、採用担当としてたくさんの人と会う中で、希望をかなえられることもあれば、かなえられないこともある責任を感じていました。結果として引き起こる人手不足のせいで自分も苦しかったし、一緒に働いている仲間にも苦しい思いをさせたので、「なんとかこの人手不足を解消したい!」と思い立って始めました。

誤解を恐れずに言えば、これまで航空業界は憧れ“だけ”で人材を採用できていたぶん、現在の人手不足に対する採用環境と労働環境に遅れをとっています。すごく極端な言い方をすると、安い賃金と過酷な労働環境を強いながら「憧れてたんでしょ?やってよ」という労使関係を容認してきたところがあるわけです。

けれどいまはもう働く人の数そのものが減っているので、同じやり方を続けても人は採れませんし、仮に採用できても長く続きません。この遅れを取り戻すにはまず「就職と採用の交通整理」が必要で、他に誰もやっていないなら自分が、たくさんの仲間や強い志を持った人たちの気持ちも背負ってやらなきゃいけないと、勝手ながら使命を感じている次第です(笑)。

――いまのお仕事を通じてどんな世界を実現したいと思っていますか?


航空業界の人材枯渇を解消することを目指して、求職者と採用担当者の間にあるさまざまな課題を解決していきたいと思っています。そのためにはいままで分散されていた求人情報を1箇所に集約することが重要で、1箇所に集約することで求職者は仕事が探しやすくなり、採用したい企業もターゲティングしやすくなりますよね。

そうなると航空業界への人の流れが活性化しますし、「憧れ」以外の何か――例えば給与面の待遇や労働環境の改善によって、人材を惹きつける競争が生まれるに違いありません。その結果として、航空業界がいまより楽しくて長く働ける業界になったら嬉しいですね。

質で勝負する“打率のいい”サイトに


――いまのお仕事を通じてどんな使命を果たしたいと思っていますか?


航空業界の人材枯渇を解消する術として立ち上げた、航空業界特化型の求人サイト「マイターミナル」を通じて、求職者と企業・採用担当者のよりよいマッチングを実現したいと考えています。「整備職」を例にとれば、企業が「この機材のこの整備をできる人を採用したい」と思ったときに、「この機材のメンテナンスなら得意なんだけど…」というニッチなスキルを持った経験者とピンポイントで出会える――そんなサイトを目指しています。

――いまのお仕事で最初に手ごたえを感じたのはどんなときですか?


2019年3月に立ち上げたばかりのサイトですが、アクセス数や応募数などは順調に伸びています。ある航空機メーカー様から整備職の求人をいただいていますが、大手有名求人サイトで応募100件のうち選考に進んだのが1~2人だったところ、マイターミナルでは応募数10件ちょっとから3名が面接に進みました。細かい工夫により航空業界の経験者や本気で働きたい人のアクセスが集まるので、応募者の質が高く“打率のいいサイト”になっている手応えを感じています。

――いまのお仕事を成功に導いた要因はなんだと思いますか?


まだスタートしたばかりで、しかも航空業界の人手不足解消という大きな目標を立ててしまったので、成功からは程遠く正直難しいことだらけです(笑)。

まず大きな困難のひとつは、求人サイトの成長には時間がかるということ。アクセス数を集めなければいけないし、求人数も集めなければいけない。どちらか一方を爆発的に増やす方法というのはないので、両方とも徐々に増やしていくしかないんですね。

もちろんお金をかければいくらでも成長スピードは上げられるのでしょうが、創業まもない会社としては限られた経営資源でやっていかなければなりません。それが困難の2つめです。資金が少ないのに時間がかかることをやっているという(笑)。

そして3つめが、航空業界という閉鎖的かつお堅い大きな組織が相手で、私たちのように新しくて小さな会社ではなかなか相手にしてもらえないこと。ですがここでも時間はかかりますが、求職者と求人企業の両方が幸せになるマッチングを地道に重ねていき、より良い業界づくりに共感・応援してくださる方を増やしてくことが重要だと考えています。

――いまのお仕事をこれからどのように発展させたいですか?


まずは、航空業界で働きたいと思ったときに「マイターミナルに行けばいろいろな仕事がたくさんあって選べるよね」というサイトにしたいですね。いずれは業界の仕事を探すならマイターミナルという信頼を確立して、業界を目指す人や働いている人から愛され応援されるサイトに。最終的には航空業界を「労働環境や採用環境が整っていて楽しい仕事がたくさんあるよ!」って思ってもらえる業界、働く場として選ばれ続ける業界にしていく一翼を担えればと思っています。

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